2010年11月29日

特例有限会社を株式会社に変更することはできるか?

特例有限会社を、通常の株式会社に変更することはもちろんできます。
しかし、一度変更してしまうと、二度と元の特例有限会社に戻すことはできませんので、以下のようなメリット・デメリットをよく考えて決断する必要があります。

特例有限会社は、通常の株式会社に比べて、
1.役員の任期が無期限なので、役員変更手続きの負担・コストを省略できる
2.計算書類を公告をしなくてよい
3.会計監査人選任の必要がない
4.みなし解散規定の適用がない・・・・・等の利点(メリット)があります。
総じて言えば、会社運営上の手続き・コスト負担が少ないことが大きなメリットです。

一方、
1.吸収合併存続会社、吸収分割承継会社になれない
2.株式交換等ができない
3.株式譲渡制限の定めを撤廃できない・・・・等の欠点(デメリット)があります。

特例有限会社の場合、何より留意しなくてはならないのは、会社としての与信力の点で、金融機関、取引先等に低くみられてしまう可能性が株式会社と名乗るより多いかもしれないという点です。
例えば、会計参与を導入することはかなりのコストがかかりますが、そのことが融資の条件とされる等のことが考えられます。

■変更の手続き
特例有限会社から通常の株式会社へ移行するための手続きは比較的簡単で、株主総会を開いて定款を変更し、商号に「株式会社」の文字を加えて「有限会社」の文字を削除すればよいです。
また、通常株式会社への移行は本店所在地では2週間以内、支店所在地では3週間以内に登記する必要がありますが、この場合は、有限会社の解散登記と株式会社の設立登記を同時に申請する必要があります。
この登記の添付書類は定款のみです。
もっとも、実際は、移行する株式会社の形態に応じて、定款の整備、各種機関の構成員の選任、任期の定め等を合わせて行う必要があります。
例えば、株式会社では、取締役の任期は定款で10年と定めることができますが、任期について何も手当てせずに通常の株式会社にしてしまうと、取締役の任期について定款に別段の定めがないことになり、2年以内に終了する事業年度のうち最後のものに関する定時株主総会の終結の時までの任期ということになってしまうので、注意が必要です。



Posted by へんみ事務所 at 18:36│Comments(0)組織変更
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